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  追悼 劉先生     朱剛 (2004年8月1日)

1.劉先生との思い出   
劉先生の訃報を聞いた時、まさかと思いましたが、詳細を聞くうちに信じざるをえなくなりました。今年3月に劉先生に連絡した折に、先生から15キロも痩せたといわれ、大変驚きました。すぐに5月合宿の後に時間を取り、連休中にお見舞いに行くと言ったのですが、劉先生から痩せたけれど以前より頭はすっきりしているし、センター建設に関する仕事が未だ残っているので、7月頃に来て下さいとFAXがきました。そのFAXを読んで一安心し、夏まで延期したのですが、今から思えば無理にでも行けば良かったと一生の悔いが残っています。

劉先生は禅密気功を世に初公開した第一功労者であり、そのおかげで多くの人達が禅密気功の恩寵を受ける事になりました。私ももし禅密気功との出会いがなければ、どうなっていたか分かりませんし、少なくとも今のように色々な面で順調ではなかったでしょう。

劉先生と初めて出会ったのは約18年前になります。初めて会った時、先生は雲の上、神様のような存在でした。数年後、北京郊外の山中で禅密気功の約3週間の 訓練を受けた際に、劉先生は私に優しく声をかけてくれました。「日本で禅密気功を広めていく事は大変な事だろうが、続けてすれば必ず道が開き、成功します。」その言葉は今でも心に響いています。
1999年、劉先生の初来日が実現し、滞在中の約3週間、私は先生と毎日、24時間ずっと一緒にいて、まるで親子のような時間を過ごしました。その間、先生は気功に関して幅広く色々と教えてくれ、大変勉強になりました。
1992年からほぼ年1回、中国を訪れて劉先生の下で勉強する時、先生は何時も私達に優しく接し、親切に功法を教えてくれました。又、常に私達の事を褒めてくれました。それは劉先生の人間性であり、私達が功法以外に学んだ大切な事であると思います。劉先生は亡くなられましたが、先生の平等感、優しさと謙虚さを、禅密気功の功法と共に世の中に広め、伝えていく事が私達の今後の使命ではないかと思います。劉先生、色々と有難うございました。
2.劉先生の遺したもの
劉先生は亡くなられましたが、幸いな事に禅密気功の本を世に遺してくれました。これは健康にとって、宝物のような財産だと思います。これから練習を通して禅密気功の真髄、素晴らしさを身につける事が、劉先生への一番の恩返しだと思っています。


禅密気功の功法をまとめてみると
@背骨を通して全身を動かす事。(築基功)
A宇宙と自分の陰陽のエネルギーを通して身体を整える事。(陰陽合気法)
B呼吸を整える事を通して元気になる事。(吐納気法)
C@〜Bをあわせて、静かな境地に行く事。(慧功)<BR>
D光を通して心の静かな境地に至って、健康になる事。(他の上級功法)
きちんとした体系があり、気功界でも素晴らしい功法の一つだと考えています。

劉先生の気功に関する考え方をまとめてみると
先ず体内の気を流して、強くして、その後体外の気を取り入れて整える。「先生内、後取外」
気功の段階については「松、静、定、悟、慧」、
気功の要素については「神、身、意、気、息」、
静かな境地については「人天合一」、
動く時の動作、流す時の気、瞑想の時の光、空無の体験、等々。
この考え方も私達の今後の研究課題としていきたいと思います。

3.今後の禅密気功について
劉先生から遺された豊富な禅密気功の内容をいかに多くの人たちに伝えるかは今後の課題となるでしょう。 私は先ず、禅密気功をきちんと練習してその体験を身につける事が、世に伝える基本的な事と思っています。

禅密気功の真髄は動作、形ではなく深く瞑想して全身の気が活発になる事と、その時に非常に穏やかで良い気持ちになる事です。禅密気功の練習は意念の訓練を大事にしています。劉先生はその意味で禅密気功は意念の密教ともいえるでしょうと言われました。

禅密気功の真髄を他人に伝える時、劉先生の教え方を学ぶ事は大事な事だと思います。劉先生は大筋のポイントに沿って練習すれば、細かい事にはこだわらず、自分が心地好い動作、気持ちで練習すれば良いと指導してくれました。劉先生の教え方は制限する方向ではなく、常に私達を褒める方向で指導してくれました。禅密気功の第一人者にもかかわらず、私達に教える時は常に平等で謙虚で、一緒に練習する気持で指導してくれました。「皆さんと同じ初心者です、禅密気功には先生はいません、皆さんは私よりも練習しています。」と常に言っていました。

劉先生が教える時の品性も私達が学ぶべきことです。 教える時の謙虚さと練習の時の穏やかな感覚は、同じ事の両面性です。 禅密気功の真髄を本当に身につければ、教える時は良い人間性が現れてきます。逆に誰かが「私は劉先生から秘密の動作、秘密の功法を習った。私しか教えられない。絶対にこの功法、この動作をしないと効果が現れない。」等、秘密めかし、威嚇するように教えても、いくら動作がきれいで禅密気功に似ていても、それは禅密気功でないと断定できます。なぜならば禅密気功は中身の練習ですから、禅密気功を深く練習すると気持が穏やかになって物事にこだわらないような気持が生じ、教え方も劉先生のように謙虚になっているからです。

禅密気功を継ぐ事については、私は禅密気功の体験が身に付けば、誰でも後を継ぐ人になると思っています。或いは後を継ぐ人は外部の条件で決めるのではなくて、禅密気功の中身をどれだけ深く体験しているかで自然に決まる事だと思います。確かに私は劉先生から日本での禅密気功を発展させていく事を一任すると言う内容の委任状を頂いていますが、それは私への励みだと思っています。上海にいる呉中先生が本当の修行の後を継ぐ事について、こういいました。「物事の真髄が分かれば、自然に皆さんに伝えています。逆に形だけ後継者になっていても、物事の真髄は分からず、本当の後継者ではありません。」先生のその考え方は素晴らしいと思っています。

これから禅密気功の素晴らしさをもっと多くの人たちに伝え、発展させる為に、皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っています。
日本禅密気功研究所:kikou@nifty.com       Tel:03-5261-5063